癌の食餌療法について、欧米には多数ありますが、
日本人の論文がほとんどないのが残念でした。
人種差や食事文化の違いが顕著ですから、
一概に海外の文献を良しとするわけにはいきませんし、
保守的な日本の医師は、癌の食餌療法自体を認めません。
ところが、最近、和食と胃癌・結腸癌・直腸癌についての研究発表がなされました。
それぞれ、1931名、793名、510名の患者について、東北大学などの研究者が、
癌診断前の食餌傾向と、診断後の死亡との関係を調べました。
胃癌患者では、大豆摂取頻度が高かった人は、最低摂取頻度のひとに比べ、胃癌死亡率が37%減でした。
また、結腸癌と直腸癌患者では、海藻摂取頻度が高い人は癌死亡リスクが有意に低かったのです。
これは癌の食餌療法のデータではなく、診断前の食餌傾向との相関を見ているのですが、
それでも、かなり参考になります。
というのは、診断前の食生活は診断後も継続しやすいからです。
私が外来で常日頃申し上げているように、どんな癌でも、基本的に和食がお勧めだということです。
和食は世界一の長寿食ですから、癌の食餌療法としても有効であるのは納得できます。
菜食やケトン食(断糖食)を否定しませんが、研究レベルでは、良好な結果は出ていません。
ヘルシーで、継続性があり、かつ美味である和食に軍配を上げたくなります。