私は、疫病と闘うものではないと思います。
まず、歴史から疫病を学ぶ必要があります。
手元にある富士川游著「日本疫病史」を見ると、
6世紀から日本は天然痘、麻疹、赤痢、流感に苦しんできたことが分かります。
622年聖徳太子が疫病で妃や母と共に倒れたために、
回復の祈りを込めて国宝の釈迦三尊像が創られました。
日本人は疫病になすすべなく、神仏に祈ることぐらいしかできませんでした。
そして、闘えない疫病を受け入れ、何とか、共存しようと
精一杯折り合いをつけて生き抜いてきたのです。
日本の美術や和歌、音楽や祭りなどにこの気持ちが込められています。
京都の祇園祭も疫病神からの守りが祈願され、美しさが希求されています。
暗ければ暗いほど光を求め、過去の日本人は疫病に対しても、
支えながら、見事に心のケアをしてきたのです。
この本の解説に、尊敬する小児科医の松田道雄氏がこう書いています。
「読者は、私たち日本人の祖先が、戦乱や天災とならんで、住民の生活をおびやかした疫病と、
どんなに絶望的な抵抗をくりかえしてきたかを感じることができる。
日本の文化は、この苦悩を通じてつくりあげてこられたのである。」
日本の文化は。弱者の辛い心情をも受け入れて練られてきた、極めて分厚い文化です。
そこに本居宣長が言う「もののあわれ」があります。
コロナ禍は我々にとって大いなる試練ですが、
私は「この危機をむだにするな!」と強調したいのです。
英語で言うと、
Never waste a good crisis! です
私は日本人です。
歴史から学んでいるので、疫病には全く動揺していません。
この逆境を素直に受け入れ、今こそエネルギーを蓄え、次の活路を見つけ、
コロナ後の新たな世界を、皆さんと一緒に創っていきましょう!